File-Remote-1.16 > File::Remote

名前

File::Remote - リモートのファイルを透過的に読み込み/書き込み/編集する

概要

   #
   # File::Remoteの2つの使い方
   #
   # 第一に関数ベースのスタイル。ここで特別なワザを使うことが
   # できます : Perl組込関数を上書きするためのreplaceタグ
   #
   use File::Remote qw(:replace);   # 特別なワザ :replaceタグ

   # リモートのファイルから読み込む
   open(REMOTE, "host:/remote/file") or die $!;
   print while (<REMOTE>);
   close(REMOTE);

   # ローカルなファイルに書き込みもうまくいきます!
   open(LOCAL, ">>/local/file");
   print LOCAL "This is a new line.\n";
   close(LOCAL); 
 
   mkdir("host:/remote/dir", 0755);
   unlink("host:/remote/file");
   unlink("/local/file");       # これもうまくいきます!
   symlink("host:/remote/src", "host:/remote/dest");

   chown("root", "other", "host:/remote/dir/file");
   chmod(0600, "host:/remote/dir/file");

   #  
   # 次にオブジェクト指向スタイル、もし組み込み関数と混乱したく
   # なければ。
   #
   use File::Remote;
   my $remote = new File::Remote;
 
   # 標準のファイル・ハンドル
   $remote->open(FILE, ">>host:/remote/file") or die $!;
   print FILE "Here's a line that's added.\n";
   $remote->close(FILE);
 
   # 新しいファイルを作成し、その権限を変更する
   $remote->mkdir("host:/remote/dir");
   $remote->touch("host:/remote/dir/file");
 
   # ファイルを移動させる
   $remote->copy("/local/file", "host:/remote/file") or warn $!;
   $remote->move("host:/remote/file", "/local/file");
 
   # ファイル全体を読み込み、出力する
   my @file = $remote->readfile("host:/remote/file");
   $remote->writefile("/local/file", @file);
 
   # 接尾語つきでファイルをバックアップ
   $remote->backup("host:/remote/oldfile", "save");
 
   # セキュアな接続方法を利用する
   my $secure = new File::Remote (rsh => "/usr/local/bin/ssh",
                                  rcp => "/usr/local/bin/scp");
   $secure->unlink("/local/file");
   $secure->rmdir("host:/remote/dir");

説明

このモジュールは、それらがローカルか、リモートにあるかに関わらず、 ファイルを扱うことの面倒をみます。ネットワーク上の物理的な場所を気に することなくファイルを作成し、編集することを可能にします。もし関数に 渡されたファイルを作成し、編集することができます。もし関数に渡された ファイルがhost:/path/to/fileという形式であれば、File::Remoteは リモートでファイルを編集するために、rsh/rcp(あるいはssh/scp、どのように 設定しているかに依存します)を利用します。そうでなければ、ファイルが ローカルにあるものと想定し、呼び出しをPerlのコアの関数に直接渡します。

このモジュールが素晴らしいのは、リモートとローカルの両方のファイルを 透過的に扱うので、全てのファイル呼び出しにこれを使うことができる ことです。つまり、あなたのコードでリモートのファイルかをチェックする 必要がまったくないということです。さらに:replaceをつけることで、 関数指向のインターフェースを使えば、実際にPerlのファイル組込関数を再定義 することができます。つまりあなたの既存のPerlスクリプトが自動的に、 再構築することなく、リモートのファイルを扱うことができるのです(!)。

File::Remoteでプログラムするためには、オブジェクト指向スタイルと 関数指向スタイルの2つの方法があります。両方の方法は同様に上手く機能します。 これは趣味の問題です。オブジェクト指向に方法の1つの利点は、 別のサーバから異なる方法(例えばrshとssh)で同時に読み込んだり、書き込んだり することができることです:

   # オブジェクト指向の方法
   use File::Remote;
   my $remote = new File::Remote;
   my $secure = new File::Remote (rsh => "/bin/ssh", rcp => "/bin/scp");

   # 一撃で安全にファイルをコピーし、書き込み、削除します...
   $remote->open(LOCAL, "/local/file") or die "Open failed: $!\n";
   $secure->open(REMOTE, "host:/remote/file") or die "Open failed: $!\n";
   print REMOTE "$_" while (<LOCAL>);

   $remote->close(LOCAL);
   $secure->close(REMOTE);

   # そして安全にファイルを移動しましょう
   $secure->move("/local/file", "host:/remote/file");
   $secure->copy("host:/remote/file", "/local/file");

関数指向インタフェースを使うためには、実際にPerl組み込み関数を置き換える :replaceという特別なタグをインポートしなければいけません:

   # Perlのファイル・メソッドをFile::Remoteで置換します
   use File::Remote qw(:replace);

   open(FILE, ">host:/remote/file") or die "Open failed: $!\n";
   print FILE "Hello, world!\n";
   close(FILE) or die "Close failed: $!\n";

   mkdir("/local/new/dir", "2775");
   mkdir("host:/remote/new/dir");
   chown("root", "other", "/local/new/dir");
   unlink("host:/remote/file");

これは非常に簡単です;File::Remoteは、ローカルファイルへの呼び出しを Perlのコア関数に直接渡します。"透過的に"全てのことを行うことができ、 ファイルの場所について気にすることはありません。さらに、何もコードを 書きなおす必要なく、リモートのファイルを扱うことができることできる という利点もあります。

File::Remoteメソッドの名前はPerlの組込関数とぶつかるので、 もし:standardタグで関数指向スタイルを使うのであれば、 余分な'r'が関数名の前に追加されます。従って<$remote-open>>は :standard関数指向版では'ropen'になります:

   # 関数指向の方法
   use File::Remote qw(:standard);  # 標準関数名を使用
   setrsh("/share/bin/ssh");
   setrcp("/share/bin/scp");

   # 機能は同じ、でも前に"r"がついています
   ropen(FILE, "host:/remote/file") or die "Open failed: $!\n";
   print while (<FILE>);
   rclose(FILE) or die "Close failed: $!\n";

   runlink("host:/remote/file");
   rmkdir("host:/remote/dir");
   rchmod("0700", "host:/remote/dir");

でもちょっと厄介です。個人的には:replaceタグを利用することを お勧めします。

関数

File::Remoteで使うことが出来る関数を以下に示します。 関数指向スタイルでは:replaceタグを使わなければ、各関数名の始まりに 余分な'r'を付けなければならないということを忘れないでください。 file引数は、すべての関数でローカルにもリモートにもできます。

new(opt => val, opt => val)

これが呼び出しでオブジェクト指向方法を使うときのメインの コンストラクタです。これを使う必要があるのは、オブジェクト指向 呼び出し形式を利用するときだけです。その動作を変更する3つの引数を 渡すことができます:

   rsh  -  rshまたはsshプログラムへのパス
   rcp  -  rcpまたはscpプログラムへのパス
   tmp  -  テンポラリ・ディレクトリへのパス

そこで、例えば:

   use File::Remote;
   my $secure = File::Remote->new(rsh => '/usr/local/bin/ssh',
                                  rcp => '/usr/local/bin/scp',
                                  tmp => '/var/run');
   $secure->copy($src, $dest);

上記のものは、そのメソッドを呼び出すと接続のためにsshとscpを使うよう、 $secureオブジェクトを設定します。

setrsh(prog) ; setrcp(prog) ; settmp(dir)

これらは関数指向の呼び出し方式のため、上記のフラグの設定することと機能的に 同じです。そのためOO方式ではなく、差し込み式の置き換え関数による 方式(これのほうが私は好きなのですが)を使いたいと決心したならば:

   use File::Remote qw(:replace);

   setrsh('/usr/local/bin/ssh'); 
   setrcp('/usr/local/bin/scp'); 
   settmp('/var/run'); 

   copy($src, $dest);

この一連の呼び出しは、オブジェクト指向形式の代わりに関数指向形式を 使うだけで、全く同じ効果があります。

open(HANDLE, file) ; close(HANDLE)

Perlの組み込み関数と全く同じようにファイルのopen、closeに使われます。これらの 関数は文字列ファイルハンドル、typeglobリファレンスの両方を、つまり適切な いかなるPerlのopen呼び出しも受け入れます:

   open(FILE, ">> $file");
   open(*FILE, ">$file");
   open(\*FH, "< $file");

5.6以降を除けば、これらは動作するはずです:

   open(my $fh, $file);

これはFile::Remoteを使うときには動作しません。これに打ち勝つような パッチを歓迎します。

touch(file)

UNIX touchコマンドと同様に、ファイルの更新時刻を更新する、あるいは存在 しなければ作成します。

mkdir(dir [, mode]) ; rmdir(dir [, recurse])

オプションの8進数のモード[mode]でディレクトリを作成;オプションで再帰的に ディレクトリ・ツリーを削除します。デフォルトでは、rmdirは再帰的に動作し、 mkdirによる新しいディレクトリはumaskに依存します。

copy(file1, file2)

File::Copyの同じ名前の関数と同様に単純にファイルをコピーします。 (:aliasesタグをインポートすれば)'cp'とすることもできます。

move(file1, file2)

File::Copyのようにファイルを移動します。 (:aliasesタグをインポートすれば)'mv'とすることもできます。

chmod(mode, file) ; chown(owner, group, file)

ファイルの権限や所有者を変更します。

unlink(file)

ファイルを削除します。これを'rm'とすることもできます。(aliasesタグをインポートすれば)。

link(file1, file2)

2つのファイルの間にハード・リンクを作成します。この関数での注意は、 ファイルは両方ともローカル、あるいはリモートになければならない ということです。

symlink(file1, file2)

ハード・リンクではなくシンボリック・リンクを作成するだけでlinkと 同じように動作します。

readlink(file)

Perl組込関数のように、シンボリック・リンクがどこをさしているかを読み込みます。

backup(file, [file|suffix])

これはファイルをバックアップします。それを操作しているのであれば便利です。 オプションの2番目の引数ファイル名や拡張子なしに呼び出すと、拡張子'bkup'が ファイルに追加されます。fileはローカルにもリモートにもできます;これは 実際にはcopy()への単なるフロント・エンドです。

readfile(file) , writefile(file, @data)

これはFile::Slurpと同様にファイル全体を一撃で読み込み、書き込みます。 readfile() はファイルの配列を返し、writefileは成功か失敗かを返す だけです。

append(file, @data) , prepend(file, @data)

writefile()に似ていますが、これらはファイルを上書きしません。 これらは後もしくは頭にデータを追加します。

使用例

以下に、このモジュールの使い方の例をいくつか示します:

1. あなたのサーバ上の/etc/passwdに新しいユーザを追加

/etc/passwdを編集しなければならないものとは別のホストで実行される webベースのnewuserプログラムのようなものを持っているのであれば、 これは便利でしょう:

   # 関数指向の方法
   use File::Remote qw(:replace);

   $passwd = "server:/etc/passwd";
   backup($passwd, 'old');      # 安全のためバックアップ
   open(PASSWD, ">>$passwd") or die "Couldn't write $passwd: $!\n";
   print PASSWD "$newuser_entry\n";
   close(PASSWD);

2. 安全に大量のファイルをコピー

おそらくは、実際のコードではよりきれいにするため、ループと変数名を 使うでしょうけれど...

   # オブジェクト指向の方法
   use File::Remote
   my $secure = File::Remote->new(rsh => "/share/bin/ssh",
                                  rcp => "/share/bin/scp",
                                  tmp => "/var/tmp");

   # ファイルの移動
   $secure->move("client:/home/bob/.cshrc", "client:/home/bob/.cshrc.old");
   $secure->copy("/etc/skel/cshrc.user", "client:/home/bob/.cshrc");
   $secure->copy("/etc/skel/kshrc.user", "client:/home/bob/.kshrc");
   

3. 本当に速い転送のため rsync w/ sshを使う

ここでは他のプロセスから巨大なデータストリームを取得し、リアルタイムに それを出力しなければならいものとします。リモートのファイルは close()が呼ばれるまで更新されないということに注意してください。

   # 関数指向で:replaceタグなし。そのため全ての関数は
   # 前に'r'がつきます
   use File::Remote qw(:standard);

   setrsh("/local/bin/ssh");
   setrcp("/local/bin/rsync -z -e /local/bin/ssh");
   settmp("/my/secure_tmp"); 

   $file = "server:/local/dir/some/huge/file";
   ropen(REMOTE, ">>$file") or die "Couldn't write $file: $!\n";
   while(<DATASTREAM>) {
      print REMOTE $_;
   }
   rclose(REMOTE);      # ファイルが最終的に更新されます

もう一度、私は:standardタグが隙ではありません、しかしあなたが望めば それはあります。呼び出し形式での違いは文法だけです - 3つは全て機能的に 同じです。

注意

File::Remote UNIXシステム上でのみ動作します。

File::Remoteへの主な注意点は、操作したいファイルがあるホストへ rsh/rcpやssh/scpアクセスを持たなければならないことです。 これに関連してセキュリティ上、明確になっていないことについて、 特にファイア・ウォールの外にいるのであれば、十分に考えてみてください。

リモートファイルは、そのファイルハンドルに対してclose()が呼ばれるまで 同調されないので、自動フラッシュ($|)を有効にしても、リモートの ファイル・ハンドルには何の効果もありません。

File::Remoteはリモートのパイプをサポートしていません。

スピードのため、デフォルトではrsh/rcpやそれらと同等のものが実行可能であるかの チェックは行いません。これを変更したければ、ソースをご覧ください。

困ったこと

:replace-wを使うと、以下のような警告を得るでしょう:

   Name "main::FILE" used only once: possible typo

これらはPerl 5が裸のファイルハンドルを使いおきています。そして無視しても 安全です。もし本当に困るのであれば、以下のように解決することができます:

   use File::Remote qw(:replace);

   { local $^W; open(FILE, $file) } # それを行う
   open(*FILE, $file);          # 方法は1つ以上
   open(\*FILE, $file);         # あります

これらのいずれかを使うことにより警告はなくなります。これらを 消す方法を知っているのであれば、是非聞いてみたいのですが...

バグ

リモート・ファイルへのopen()の内部実装のために、増え続ける リモート・ファイル(その"tail")を読み込むことはできません。 基本的に読み込みのためにオープンしたとき、リモート・ファイルの スナップショットが取られます。この制限を打ち破るパッチを歓迎します。

system()呼び出しに頼り、%ENVに依存しているため、汚染(taint)されていたり、 setuidされたPerlスクリプトではFile::Remoteは動かないかもしれません。 これを回避するためには、あなたのスクリプトの先頭にundef %ENVを単純に 追加してください。これはいずれにしてもやるべきです。

バグレポートや提案があれば、私に指示してください(以下を参照)。 どうか明確にし、あなたが使っているFile::Remoteのバージョンを入れるよう お願いします。

バージョン

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作者

Copyright (c) 1998-2001 Nathan Wiger, Nateware <[email protected]>. All Rights Reserved.

This module is free software; you may copy this under the terms of the GNU General Public License, or the Artistic License, copies of which should have accompanied your Perl kit.

翻訳者

川合 孝典([email protected])